電子帳簿保存法の電子取引データ保存が2024年1月に完全義務化され、2026年現在も多くの企業が対応ツールの選定に頭を悩ませています。「どのクラウドツールを選べばいいのか分からない」「自社の規模に合ったサービスはどれか」という声は少なくありません。
本記事では、電子帳簿保存法に対応したおすすめクラウドツール8選を徹底比較します。JIIMA認証の有無・料金体系・主要機能を一覧表で整理し、企業規模や業務フローに合った最適な選び方まで解説します。
電子帳簿保存法とは?2026年に押さえるべき基本要件
電子帳簿保存法の3つの保存区分
電子帳簿保存法は、税務関係の帳簿や書類を電子データで保存するためのルールを定めた法律です。以下の3つの保存区分があります。
- 電子帳簿等保存:会計ソフトなどで電子的に作成した帳簿・書類をそのまま電子データで保存する方法
- スキャナ保存:紙で受領・作成した請求書や領収書をスキャナやスマホで読み取り、電子データとして保存する方法
- 電子取引データ保存:メールやクラウドサービスで授受した請求書・見積書などの電子データをそのまま保存する方法(2024年1月から完全義務化)
2026年現在の義務化要件と罰則
2024年1月以降、電子取引で受け取った書類は電子データのまま保存することが義務付けられています。保存にあたっては以下の要件を満たす必要があります。
- 改ざん防止措置:タイムスタンプの付与、訂正・削除履歴の記録、または事務処理規程の整備のいずれかを実施
- 検索機能の確保:日付・金額・取引先の3項目で検索できる状態を維持
- 見読可能性の確保:ディスプレイやプリンタで速やかに出力できる環境を整備
帳簿書類の保存義務を怠った場合、会社法の規定に基づき100万円以下の過料が科される可能性があります。また、青色申告の承認が取り消されるリスクもあるため、早めの対応が不可欠です。
電子帳簿保存法対応ツールの選び方3つのポイント
JIIMA認証の有無を確認する
JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実施する認証制度です。この認証を取得しているツールは、電子帳簿保存法の保存要件を満たしていることが第三者機関によって確認されています。
JIIMA認証には「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」と「電子書類ソフト法的要件認証」の2種類があります。ツール選定時にはどちらの認証を取得しているか確認しましょう。
自社の業務フローに合った機能を選ぶ
電子帳簿保存法対応ツールは大きく3つのタイプに分かれます。
- 電子保存専用タイプ:電子取引データの保存に特化したシンプルなツール。コストを抑えたい企業向け
- 請求書受領タイプ:請求書の受領・データ化・保存を一括管理できるツール。経理業務の効率化も実現
- 経費精算・会計一体タイプ:経費精算や会計処理と連携して電子保存に対応するツール。バックオフィス全体の効率化に最適
料金体系と従量課金に注意する
電子帳簿保存法対応ツールの料金体系は、月額固定制と従量課金制の2パターンがあります。月間の証憑枚数が少ない企業は月額固定制が有利ですが、枚数が多い企業は1枚あたりの単価が重要になります。初期費用の有無や最低契約期間もあわせて確認しましょう。
おすすめ電子帳簿保存法対応クラウドツール8選を徹底比較
主要8サービスの機能・料金比較表
| サービス名 | タイプ | 月額料金(税込) | JIIMA認証 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| freee会計 | 会計一体型 | 2,680円〜(個人)/ 3,980円〜(法人) | あり | 全プランで電帳法対応、追加費用なし |
| マネーフォワード クラウド | 会計一体型 | 2,980円〜 | あり | クラウドBoxで電子保存、バックオフィス連携が強力 |
| TOKIUM電子帳簿保存 | 電子保存専用 | 10,000円〜 | あり | 証憑の代行入力サービス、大企業にも対応 |
| invox電子帳簿保存 | 電子保存専用 | 2,178円〜 | あり | 低コストで導入可能、AI-OCR搭載 |
| バクラク電子帳簿保存 | 請求書受領型 | 33,000円〜 | あり | AIが自動で書類を仕分け、請求書処理と一体化 |
| 弥生 スマート証憑管理 | 電子保存専用 | 無料(弥生ユーザー) | あり | 弥生会計ユーザーは無料で利用可能 |
| OPTiM 電子帳簿保存 | 電子保存専用 | 9,980円〜 | あり | AI-OCRで高精度データ化、操作がシンプル |
| ジョブカン経費精算 | 経費精算型 | 440円/ユーザー | あり | 経費精算と一体で電帳法対応、少人数から導入可 |
各サービスの特徴を詳しく解説
freee会計は、すべての料金プランで電子帳簿保存法に追加費用なく対応している点が最大の強みです。ファイルボックス機能でスキャナ保存にも対応し、確定申告から法人決算までワンストップで完結します。個人事業主から中小企業まで幅広く使われています。
マネーフォワード クラウドは、クラウドBoxという電帳法対応ストレージを提供しており、電子取引データ保存とスキャナ保存の両方に対応しています。会計・経費・請求書・勤怠など、バックオフィス全体を一元管理できる点が魅力です。
TOKIUM電子帳簿保存は、月額10,000円からと中規模以上の企業向けですが、証憑の代行入力サービスを提供しており、経理担当者の作業負担を大幅に削減できます。大手企業での導入実績も豊富です。
invox電子帳簿保存は、月額2,178円からという低価格が特徴です。AI-OCR機能で1件あたり22円からデータ化でき、小規模事業者でも導入しやすいコスト感です。APIを利用した連携も可能で、ミニマムプランから段階的に拡張できます。
バクラク電子帳簿保存は、AIが書類の種類を自動判別し、仕分け作業を効率化します。請求書の受領から支払い処理、電子保存までを一気通貫で管理できるため、月間の請求書処理件数が多い企業に適しています。
弥生 スマート証憑管理は、弥生シリーズ(弥生会計・やよいの青色申告など)のユーザーであれば無料で利用できるサービスです。電子取引データ保存とスキャナ保存の両方に対応し、弥生製品との連携もスムーズです。
OPTiM 電子帳簿保存は、AI-OCRを活用した高精度な書類読み取りが特徴です。管理画面がシンプルで、ITに詳しくない担当者でも操作しやすい設計になっています。
ジョブカン経費精算は、1ユーザーあたり月額440円と少人数でも導入しやすい料金設定です。経費精算機能と一体で電子帳簿保存法に対応しており、従業員数が少ない企業のスモールスタートに最適です。
企業規模別おすすめツールの選び方
個人事業主・フリーランス向け
個人事業主やフリーランスには、freee会計または弥生 スマート証憑管理がおすすめです。freee会計はスタータープランでも電帳法に対応しており、確定申告まで一気通貫で行えます。すでに弥生シリーズを使っている場合は、追加費用なしでスマート証憑管理を利用できます。
- 月間証憑数が少ない(50枚以下)場合はfreee会計のスタータープランで十分
- 弥生会計ユーザーはスマート証憑管理を無料で追加
- 初期費用を抑えたいならinvoxのミニマムプラン(月額2,178円)も選択肢
中小企業(従業員10〜100名)向け
中小企業には、マネーフォワード クラウドまたはジョブカン経費精算が適しています。マネーフォワード クラウドは会計・経費・請求書を一元管理でき、バックオフィス業務全体の効率化が可能です。ジョブカンは1ユーザーあたり440円と従量課金のため、従業員数に応じたコスト管理がしやすい設計です。
- バックオフィス全体をDX化したいならマネーフォワード クラウド
- 経費精算の効率化も同時に進めたいならジョブカン経費精算
- 請求書の受領・処理件数が月100枚以上ならバクラクも検討
中堅〜大企業(従業員100名以上)向け
中堅以上の企業には、TOKIUM電子帳簿保存またはバクラク電子帳簿保存がおすすめです。TOKIUMは証憑の代行入力サービスがあり、経理部門の工数を大幅に削減できます。バクラクはAIによる自動仕分け機能が充実しており、大量の書類処理に対応できます。
- 証憑の入力作業を外部に委託したいならTOKIUM
- AI活用で自動化を進めたいならバクラク
- 既存の会計システムと連携が必要な場合はAPI対応の有無を確認
電子帳簿保存法対応で失敗しないための注意点
導入前に確認すべきチェックリスト
ツール導入前に以下の項目を確認しておくことで、導入後のトラブルを防げます。
- 対応する保存区分:電子取引データ保存だけでなく、スキャナ保存にも対応が必要か
- 既存システムとの連携:現在使用中の会計ソフトやERPとデータ連携が可能か
- タイムスタンプの仕組み:タイムスタンプが自動付与されるか、別途費用がかかるか
- 検索機能の要件:日付・金額・取引先での検索が標準機能に含まれるか
- ストレージ容量:月間の証憑枚数に対して十分な保存容量があるか
- サポート体制:導入支援やヘルプデスクの対応品質はどうか
事務処理規程の整備も忘れずに
ツールを導入するだけでは電子帳簿保存法に完全対応とはなりません。社内の事務処理規程を整備し、以下のルールを明文化する必要があります。
- 電子データの保存手順と責任者
- 訂正・削除が発生した場合の対応フロー
- バックアップの取得頻度と保管方法
- 税務調査時のデータ提出手順
国税庁の公式サイトでは事務処理規程のサンプルが公開されていますので、自社の業務に合わせてカスタマイズして活用しましょう。
まとめ:自社に合った電子帳簿保存法対応ツールを選ぼう
電子帳簿保存法への対応は、2024年の義務化以降すべての事業者に求められています。ツール選定では、JIIMA認証の有無、自社の業務フローとの適合性、料金体系の3点を重視しましょう。
個人事業主や小規模企業ならfreee会計や弥生 スマート証憑管理、中小企業ならマネーフォワード クラウドやジョブカン経費精算、中堅以上ならTOKIUMやバクラクが有力候補です。
まずは無料プランやトライアル期間を活用して操作感を確認し、自社の証憑枚数や業務フローに合ったツールを導入してください。法令対応を機にバックオフィスのDX化を進め、業務効率の向上とコスト削減を同時に実現しましょう。

