SaaS コスト削減の方法5選|ムダな支出を見直す実践ガイド2026

SaaS比較まとめ

「気づけば毎月のSaaS費用が膨らんでいる」「契約しているはずのツールが社内で誰にも使われていない」――。そんな課題を抱える企業が急増しています。SaaS コスト削減の方法を体系的に実行すれば、年間で数十万〜数百万円規模のムダを削れるケースも珍しくありません。本記事では2026年最新の市場データをもとに、利用実態の可視化・契約整理・運用最適化までの5ステップを具体的に解説します。

SaaSコストが膨らむ3つの構造的な原因

削減の打ち手を考える前に、まずは「なぜ膨らむのか」という構造を押さえましょう。原因を特定せずに値引き交渉だけを行っても、根本解決にはつながりません。

部署ごとに導入が進む「シャドーIT」の蔓延

営業はSalesforce、マーケはHubSpot、開発はNotion――と、各部門が情シスの承認を得ずに個別契約を進めるケースが急増しています。BetterCloudの2025年調査では、組織が利用するSaaSは平均106個に達し、中規模企業(1,500〜4,999人)でも依然として大量のアプリが並列稼働しています。把握しきれない契約が積み上がるほど、重複コストは確実に増えていきます。

休眠アカウント・退職者ライセンスの放置

「ライセンスは契約しているが、ログインしているのは半数以下」という状況は決して珍しくありません。一般的に、保有ライセンスのうち定期的に利用されているのは半数程度にとどまるとされ、未使用ライセンスを整理するだけで10〜30%のコスト削減が見込めるのが実情です。退職者のアカウント削除漏れも、地味ですが大きな出費要因になります。

機能の重複した「似たツール」の併存

チャットツールがSlackとTeamsとChatworkで併存、ドキュメント管理がNotionとConfluenceとGoogle Driveで分散――こうした重複は、ツール選定がトップダウンで行われていない組織で起こりがちです。同カテゴリで2つ以上契約していないか、棚卸しの第一歩として確認しましょう。

SaaS コスト削減の方法|今日から始める5ステップ

ここからは、再現性のある削減ステップを順を追って紹介します。情シスが2〜3名の小規模な組織でも、3〜6か月で成果を出せる現実的な手順です。

ステップ1:契約しているSaaSを全棚卸しする

まず行うべきは「いま何にいくら払っているか」の可視化です。会計ソフトの振込履歴、法人カードの利用明細、Google WorkspaceやMicrosoft 365のサインインログを照合して、全契約を一覧化します。Excelでも構いませんが、20件を超えるならSaaS管理ツールの導入を検討しましょう。棚卸し時に記録すべき項目は、サービス名・契約者・部門・利用人数・月額/年額・契約開始日・更新月・解約通知期限の8つです。これらを一覧化するだけで、契約の偏りやムダがひと目で見えるようになります。

ステップ2:利用率の低いツールを特定する

各SaaSの月間アクティブユーザー数(MAU)を計測し、ライセンス数に対する利用率を算出します。利用率30%未満のツールは、ライセンス数の見直し・上位プランからの降格・解約のいずれかを検討すべき候補です。多くのSaaSには管理者向け管理画面で「直近30日のログイン状況」を確認できる機能があるため、まずはその標準機能を活用しましょう。SAML SSO(シングルサインオン)を導入していれば、IdP側のログでさらに正確な利用実態を把握できます。

ステップ3:年契約・上位プランの妥当性を再評価

「年契約で20%割引」につられて契約したものの、実際には月契約で十分だったというケースもあります。逆に頻繁に使うツールは年契約に切り替えることで2割前後安くなる可能性があります。プラン選定は「割引率」ではなく「使い切れる機能か」で判断することが重要です。

ステップ4:解約・ダウングレードを実行する

解約時には契約期間・違約金・データエクスポートの可否を必ず確認しましょう。日本のSaaSは「契約期間中の途中解約不可、自動更新前1〜3か月前までに通知」という条件が多いため、更新月の3か月前にカレンダー登録しておくのが鉄則です。解約後にデータを引き出せない仕様のツールも存在するため、過去データの保存要件がある場合は、解約前にCSVエクスポートやAPI経由でのバックアップを必ず取得してください。

ステップ5:継続的な管理体制を構築する

一度の棚卸しで終わらせず、四半期ごとの見直しサイクルを定着させます。新規SaaS契約には情シスの事前承認フローを設け、退職者発生時のアカウント削除をオフボーディング手順に組み込めば、コストの再膨張を防げます。「申請→検証→契約→定期レビュー→更新/解約」の5フェーズをワークフロー化し、誰がいつ何を判断するかを明文化しておくと、担当者が交代しても運用が継続します。

SaaS コスト削減を支援する管理ツール3選

20〜30以上のSaaSを抱える企業では、棚卸しを手作業で続けるのは非現実的です。ここでは2026年時点で代表的なSaaS管理ツールを比較します。

ツール名 提供企業 特徴 料金体系
ジョーシス ジョーシス株式会社 SaaS管理+ITデバイス(PC・スマホ)統合管理が強み 従業員数・管理ID数に応じた要問合せ
マネーフォワード Admina 株式会社マネーフォワード 連携SaaS300以上、国内主要SaaSをほぼ網羅 従業員数に応じた要問合せ
BetterCloud BetterCloud(CoreStack) 海外発のSaaS管理プラットフォーム、自動化機能が充実 エンタープライズ向け要問合せ

ジョーシスは「PC配布もまとめて」管理したい企業向け

SaaSアカウントだけでなく、PCのキッティング(初期設定・配送)からMDM(モバイルデバイス管理)までワンストップで対応します。情シス専任者が少ない中小〜中堅企業で、入退社対応の手間を一気に減らしたい場合に有力な選択肢です。

マネーフォワード Adminaは会計連携を活かしたい企業向け

マネーフォワード クラウドの会計データと組み合わせることで、契約金額・支払履歴をシームレスに把握できます。すでにマネーフォワードの会計ソフトを導入している企業なら親和性が高いでしょう。

BetterCloudは大規模・グローバル対応が必要な企業向け

世界中で利用されるSaaSとの連携実績が豊富で、ワークフロー自動化機能も強力です。一方で日本語サポートや国内SaaSへの対応範囲は国産ツールに劣るため、グローバル拠点を持つ企業に向いた選択肢です。

業務効率化と両立する「コスト削減」の考え方

コストカット最優先で進めると、現場の業務効率を落としかねません。守るべき視点を整理しておきましょう。

「使われていない」ではなく「使い方を知らない」可能性を疑う

利用率が低いツールでも、機能を知らないだけで本来は活用余地があるケースがあります。解約前に社内アンケートや短時間の研修を実施し、再活用可能か検証してから判断する方が、長期的には合理的です。

無料・割安ツールへの安易な置き換えは要注意

「無料ツールに置き換えれば即削減」という発想は危険です。サポート品質・セキュリティ・データ移行コスト・社員の学習コストを総合評価したうえで、TCO(総保有コスト)で比較する視点が欠かせません。

削減成果を「見える化」して継続性を確保する

削減できた金額を経営層・現場に共有することで、コスト意識を組織文化として根付かせられます。半年ごとに「削減実績ダッシュボード」を更新し、次年度の取り組みにつなげましょう。Looker StudioやGoogleスプレッドシートで「契約数」「年間総額」「利用率平均」「削減累計」の4指標を可視化するだけでも、経営層への説明力は大きく高まります。

セキュリティ強化と一体で進める

シャドーITの解消は、コスト削減と同時にセキュリティリスクの低減にもつながります。情シスが把握していないSaaSにアップロードされた機密情報の漏洩、退職者アカウントからの不正アクセスなど、見えないリスクを排除できる効果は金額換算が難しいものの極めて重要です。コスト削減プロジェクトをセキュリティガバナンス強化の機会として位置づけることで、稟議も通りやすくなります。

SaaSコスト削減を成功させるためのチェックリスト

最後に、削減プロジェクトを進めるうえで必ず押さえたいポイントをチェックリスト形式でまとめます。

導入前のチェックポイント

  • 過去12か月分の請求書・カード明細を集約したか
  • SaaSごとの担当部門・契約管理者を一覧化したか
  • 更新月・解約通知期限をカレンダー登録したか

運用フェーズのチェックポイント

  • 四半期ごとに利用率レポートを確認しているか
  • 新規SaaS契約に情シスの承認フローを設けているか
  • 退職者アカウントの削除がオフボーディングに組み込まれているか

経営層への報告で意識すべきこと

  • 削減金額だけでなく「業務影響なし」を併記する
  • 削減後の再投資先(教育・新規ツール)を提案する
  • セキュリティリスクの低減効果も定量的に示す

まとめ|SaaSコスト削減は「可視化」から始まる

SaaS コスト削減の方法は、特別なテクニックではなく「契約の可視化→利用率の評価→契約整理→運用ルール化」という地味な積み重ねが王道です。BetterCloudの調査でも、中規模企業では1年で約3割のSaaSアプリ数を削減できた事例が報告されており、適切に取り組めば確実に成果が出る領域です。まずは今月の請求書を1枚ずつ確認するところから始めましょう。20件を超えてきた段階でジョーシスやマネーフォワード AdminaのようなSaaS管理ツールを組み合わせれば、棚卸しの負荷を一気に下げられます。継続的な削減サイクルを回し、本来投資すべき領域へリソースを再配分していきましょう。

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