マネーフォワード クラウド経費(MFクラウド経費)の使い方は、スマホアプリで「レシート撮影→経費申請→承認」を一気通貫で回すのが基本です。「スマホで経費申請できると聞いたが、実際の手順がわからない」「レシートをどのタイミングで撮影すれば良いのか」——こうした疑問を抱えたまま、紙の申請書やExcelに戻ってしまう担当者は少なくありません。
マネーフォワード クラウド経費は、スマホアプリからレシート撮影・経費申請・承認まで一気通貫で処理できるクラウド型の経費精算ツールです。本記事では、スマホから経費申請を完結させる手順を、初期設定から申請・承認まで実務ベースで解説します。
あわせて「やりがちな失敗」と「10人以下の少人数チームが使う際のコスト判断」もまとめているので、導入直後の方や検討中の情シス・バックオフィス担当者の参考になれば幸いです。
マネーフォワード クラウド経費とは?料金と基本仕様
【一次情報】料金プランの実額(2026年9月・公式料金ページで確認)
マネーフォワード クラウド経費の料金は、従業員規模ではなく「含まれるアカウント数」で区切られた3プランです。マネーフォワード クラウド経費 公式料金ページの記載を2026年9月に確認し、そのまま表にしました(表示価格はすべて税抜)。
| プラン | 年払い(月あたり) | 月払い | アカウント数 | 公式の想定 |
|---|---|---|---|---|
| ひとり法人プラン | 2,480円(一括29,760円/年) | 3,980円 | 1名 | 新設法人1年目 |
| スモールビジネスプラン | 4,480円(一括53,760円/年) | 5,980円 | 3名 | 利用者3名以下 |
| ビジネスプラン | 6,480円(一括77,760円/年) | 7,980円 | 5名 | 利用者4名以上 |
見落とされやすいのが「アカウントの追加は6名以上から1名につき月500円」という従量部分です。初期費用は0円、無料で試せる期間は「ビジネスプラン相当の機能を1ヶ月」で、クレジットカードの登録なしで開始できます(いずれも公式料金ページの記載)。51名以上は個別見積もりです。なお「ひとり法人プラン」は、管理コンソールの「ユーザー」画面に登録されている人数が士業アカウントを除いて1名の場合に限り契約できる、という条件も明記されています。
【独自試算】1〜10名の月額早見表(年払い・税抜)
公式の基本料金と「6名以上は500円/名」を当てはめて、10人以下のチームが実際に払う金額を編集部で計算しました。
| 経費を申請する人数 | 選ぶプラン | 基本料金 | 追加アカウント | 月額合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1名 | ひとり法人 | 2,480円 | 0円 | 2,480円 |
| 3名 | スモールビジネス | 4,480円 | 0円 | 4,480円 |
| 5名 | ビジネス | 6,480円 | 0円 | 6,480円 |
| 7名 | ビジネス | 6,480円 | 2名 × 500円 = 1,000円 | 7,480円 |
| 10名 | ビジネス | 6,480円 | 5名 × 500円 = 2,500円 | 8,980円 |
10名での8,980円は、公式料金ページが「例2:経費精算ソフトを従業員10名で利用する場合」として掲げている金額と一致します。つまり10人以下の実額レンジは月2,480〜8,980円(税抜)で、ネット上によくある「3,000〜5,000円台」という目安より上振れしやすいのが実態です。効いてくるのは4人目で段差が来ること——スモールビジネス(3名まで)からビジネスへ上がり、月2,000円増えます。3名で運用できる設計にするか、はじめから4名以上を前提にするかで年間24,000円の差になります。
【落とし穴】承認者は「操作しなくても」課金対象になる
従量課金の対象は在籍者数ではなくアクティブユーザー数です。公式料金ページは、アクティブユーザーの定義を次のように明記しています。
- 一般権限で、その月に経費明細の登録または申請(経費申請・事前申請・各種申請・仮払申請)の作成を行ったユーザー
- 代理で登録・申請を作成されたユーザーもアクティブユーザーに含まれる
- 管理権限および承認権限が付与されているユーザーは、その月に操作を行わなくてもアクティブユーザーになる
- 契約人数を超過したアクティブユーザーのカウントは、当月末までの積算で算出する
裏を返せば、その月に1件も申請しなかった一般権限のユーザーは課金されません。ここが10人以下のチームでコストを動かせる唯一のレバーです。営業だけが毎月申請し、他の社員は年に数回という構成なら、実際のアクティブユーザーは3〜5名に収まることが多く、ビジネスプランの基本料金内(5名まで)で回り切ります。
逆に設計を誤りやすいのが権限の付け方です。「とりあえず全員に承認権限を付けておく」と、操作の有無にかかわらず全員が毎月アクティブユーザーとしてカウントされます。承認権限は実際に承認する人だけに絞る——これだけで、10名の組織でも月2,500円の従量分が消えるケースがあります。導入時の権限設計は、使い勝手ではなく料金の話として扱ってください。
スマホアプリの対応OS
iOS(App Store)・Android(Google Play)どちらでも専用アプリが提供されています。アプリから利用できる主な機能は次の通りです。
- レシート撮影・OCR自動読み取り
- 交通費のIC乗車履歴取込(Suicaなど)
- 経費精算申請・事前申請・各種申請
- 承認者による承認・差し戻し操作
他の経費精算ツールとの比較ポイント
経費精算ツールの比較については「経費精算ツール比較|楽楽精算 vs マネーフォワード」も参照してください。マネーフォワードはMFクラウドシリーズとの連携が強みで、会計・給与・請求書など他サービスとデータが自動連動します。
MFクラウドシリーズで給与計算まで一元化したい場合は「マネーフォワード クラウド給与で初めての給与計算|設定から明細発行まで」、会計にfreeeを使い人事労務・給与を回すなら「freee人事労務の初期設定ガイド|従業員登録から給与明細発行まで」、freee会計そのものの初期設定は「freee会計の初期設定ガイド|法人が開業直後にやるべき設定手順」もあわせてご覧ください。
初期設定:スマホアプリで使い始めるまでの手順
ステップ1:アプリのインストールとログイン
App StoreまたはGoogle Playで「マネーフォワード クラウド経費」を検索してインストールします。ログインはマネーフォワードIDを使用します。
- アプリを起動し「ログイン」をタップ
- 会社ドメインに紐づいたメールアドレスとパスワードを入力
- 多要素認証(設定済みの場合)を完了
- 会社アカウントを選択(複数のMFアカウントを持つ場合)
よくある失敗①:個人用マネーフォワードのIDでログインしてしまう。法人向けのマネーフォワード クラウドは「biz.moneyforward.com」ドメインのアカウントが必要です。会社から案内されたURLを確認しましょう。
ステップ2:経費科目・プロジェクトの確認
管理者側で経費科目(交際費・旅費交通費など)とプロジェクトコードが設定されていないと、申請時に選択肢が現れません。初回ログイン後、「設定」メニューから自分に割り当てられた科目が表示されているか確認してください。
表示されない場合は管理者(経理担当)に科目設定の完了を確認するのが先決です。
ステップ3:通知設定・IC乗車履歴の連携
承認待ちや差し戻しを即座に知るため、プッシュ通知はオンにしておくことを推奨します。またICカード(Suica/PASMOなど)の乗車履歴を自動取込みしたい場合は、「設定」→「外部サービス連携」からICカード読み取りアプリとの連携設定を行います。
スマホからの経費申請手順(レシート撮影〜提出)
レシートのOCR撮影〜明細登録
マネーフォワード公式サポートによると、OCR自動読み取りの手順は以下の流れです。
- アプリホーム画面の「+新規登録」または「カメラ」アイコンをタップ
- 「OCR入力」モードを選択(事前に設定で有効化が必要)
- レシートが画面枠に収まるようカメラを合わせ、撮影ボタンをタップ
- 日付・支払先・金額がOCRで自動入力される(数秒〜10秒程度)
- 内容を確認し、経費科目・用途を手動で選択・入力
- 「保存」をタップして明細が登録される
OCRが正確に読み取れないケース:手書きレシート、感熱紙で文字が薄い場合、斜め撮影など。この場合は手動入力に切り替えます。撮影は明るい場所・水平状態で行うことで読み取り精度が上がります。
交通費の申請(IC乗車履歴・経路入力)
交通費には2つの入力方法があります。
- IC乗車履歴取込み:SuicaアプリやICOCAアプリと連携し、乗車記録を自動取込み。手入力が不要で最も正確
- 経路入力:アプリ内の路線検索機能で出発地・目的地を入力すると運賃が自動計算される
IC乗車履歴はWeeklyで取り込むと申請漏れを防げます。出張が多い場合はとくに有効です。
申請書の作成と提出
- 登録した経費明細を複数選択し「申請書を作成」をタップ
- 申請タイトル(「〇月経費精算」など)を入力
- 承認ルートを確認(管理者が設定した経路が自動表示)
- 「申請」ボタンをタップ → 上長に通知メールが届く
申請後は「申請状況」画面でステータス(承認待ち/差し戻し/承認済み)をリアルタイムに確認できます。
承認者側の操作手順(スマホで完結)
承認・差し戻しの流れ
上長(承認者)もスマホアプリから承認操作ができます。申請通知を受け取ったら以下の手順で対応します。
- プッシュ通知または「承認待ち」タブをタップ
- 申請内容(日付・金額・領収書画像)を確認
- 問題なければ「承認」をタップ。コメントを添えて「差し戻し」も可能
差し戻し時はコメント必須にしておくと、申請者が何を修正すべきかが明確になります(管理者設定で強制化可能)。
多段階承認の設定とモバイル対応
マネーフォワード クラウド経費は「直属の上長→部長→経理」のような多段階承認に対応しています。承認者全員がスマホアプリからそれぞれの段階で承認できるため、出張中や外出先での滞留がなくなります。
よくある失敗・落とし穴と対処法
失敗例①:領収書の日付と申請月がずれて差し戻しになる
翌月になってから先月の領収書を申請すると、経理部門の締め日ルールに引っかかることがあります。申請締め切りは会社ルールに従い、当月中に申請する習慣を徹底してください。アプリのプッシュ通知で締め切り前にリマインドする機能も活用しましょう。
失敗例②:電子帳簿保存法対応の設定が抜けていた
2024年1月以降、電子データで受領した領収書はタイムスタンプ付きで保存する義務があります。マネーフォワード クラウド経費は電子帳簿保存法に対応していますが、管理者側で「電子帳簿保存法モード」を有効化しないと要件を満たさない点に注意が必要です。導入時に経理責任者と確認を取ってください。
関連記事:電子帳簿保存法対応ツール比較|おすすめクラウド8選
失敗例③:IC連携の乗車履歴が重複して過剰申請になる
Suicaと手動入力の両方で同じ区間を登録してしまうミスが発生しやすいです。IC取込みを使う場合は手動入力を禁止するか、明細一覧で重複チェックを行う習慣を作りましょう。
こういうチームはマネーフォワード クラウド経費を選ぶな
以下のような状況では、費用対効果が出にくいため他のツールの検討を推奨します。
- 月の経費申請件数が5件以下の超小規模チーム:Excelや無料ツールで十分な場合が多い
- マネーフォワードの会計・給与ソフトを使っていない:シリーズ連携のメリットが享受できず、単独コストが割高になる可能性がある
- 現場スタッフのスマホリテラシーが低い:初期教育コストが想定外に高くなるケースがある(この場合は紙申請の電子化から段階的に進めるのが現実的)
10人以下チームのコスト判断シミュレーション
月5人がアクティブユーザーになる場合の試算
| 比較項目 | 導入前(紙・Excel) | マネーフォワード クラウド経費 |
|---|---|---|
| 月次経費処理時間(経理担当) | 約8時間/月 | 約2〜3時間/月 |
| 申請者の入力時間(1件あたり) | 約10分 | 約2〜3分(OCR活用時) |
| ツール費用 | 0円(人件費は別途) | 6,480円/月(5名・ビジネスプラン年払い税抜) |
| 誤申請・差し戻し頻度 | 高(手作業ミス多) | 低(OCR・バリデーションあり) |
経理担当が時給2,500円相当で月5時間の工数削減を実現できれば、月1万2,500円のコスト削減効果が生まれます。ビジネスプランの月6,480円(税抜)と差し引いても月6,000円前後が残る計算で、少人数でも投資回収は1〜2ヶ月以内になることが多いのが実態です。
ただし、経費精算だけを最適化しても月額は積み上がります。契約中のSaaS全体で重複や未使用アカウントが出ていないかを先に棚卸しすると、経費ツールの月額分をそのまま他の解約でまかなえることも珍しくありません。手順はSaaSコスト削減の進め方で、利用状況の可視化から解約・ダウングレード判断までを整理しています。
インボイス対応の観点から会計ソフトとの連携を検討している場合は、「インボイス制度対応会計ソフト比較2026」も参考にしてください。
1ヶ月の無料期間を最大活用する方法
無料期間(1ヶ月)中に確認すべきポイントは次の4つです。
- OCRの読み取り精度(自社で使うレシート・領収書での実測)
- 承認ワークフローの設定難度(管理者が自力で設定できるか)
- 既存の会計ソフト(MFクラウド会計・freeeなど)との連携動作確認
- スタッフへの教育コスト(操作ガイドのみで使えるか、別途説明が必要か)
この3番目でつまずきやすいのが、銀行口座・クレジットカードの同期です。明細が取り込まれないまま経費データだけ増えると、無料期間中の判断材料がそろいません。会計ソフト側で同期が止まったときの切り分け手順はfreeeで銀行口座が同期できないときの原因と対処法にまとめているので、連携確認の前に一読しておくと復旧が早くなります。
もう一点、経費精算と混同されやすいのが請求書の発行業務です。マネーフォワード クラウド経費が扱うのは社員から会社への「支払い申請」であり、取引先へ出す請求書の作成・送付は別の仕組みで整える必要があります。バックオフィスをまとめて効率化したい場合は請求書作成ツールの比較で無料・有料の8製品の料金と機能差を確認し、経費側と請求側のどちらから着手するかを決めてください。
まとめ:マネーフォワード クラウド経費スマホ申請のポイント
マネーフォワード クラウド経費をスマホで使いこなすための要点は以下の通りです。
- 初期設定:法人ビジネスIDでのログイン確認、経費科目・承認ルートの管理者設定が前提
- 経費申請:OCR撮影→科目選択→申請書作成→提出の流れを1〜2分で完結できる
- 電子帳簿保存法対応:管理者側での設定有効化が必須。見落としに注意
- 費用対効果:10人以下でも経理工数削減により1〜2ヶ月で投資回収が見込める
- 向かないケース:月5件以下の申請数、MFシリーズ非利用チームは費用対効果を再検討
1ヶ月の無料期間(ビジネスプラン相当の機能・クレジットカード登録なし)を活用し、自社の経費精算フローに合うか事前に検証することをおすすめします。詳細はマネーフォワード クラウド経費公式サイトでご確認ください。

