SmartHRの年末調整は、管理者が「はじめる」ボタンから初期設定を済ませ、従業員にアンケート配信するだけで申告書が自動作成される仕組みです。紙の書類配布や手計算に頼っていた年末調整も、SmartHRを使えば従業員はスマホからアンケートに答えるだけで完了します。本記事では、SmartHR年末調整の設定手順を、管理者の初期設定から従業員への依頼、回答内容の確認までの流れに沿って、はじめて担当する情シス・バックオフィス担当者向けに具体的に解説します。
SmartHRの年末調整とは?紙の年末調整との違い
アンケート形式で申告書が自動作成される仕組み
SmartHRの年末調整機能は、従業員が画面の質問(アンケート)に答えていくと、その回答内容から扶養控除等申告書や保険料控除申告書などの各種申告書が自動で作成される仕組みです。従業員は控除証明書の内容を入力・アップロードするだけでよく、複雑な書式を自分で記入する必要がありません。
従業員はパソコンだけでなくスマートフォンからも回答できるため、リモートワークや店舗勤務など、オフィスに常駐しない従業員が多い会社でも紙のやり取りが発生しません。回答は「はい・いいえ」で分岐していく対話形式のため、税や控除の知識が乏しい従業員でも、自分に必要な項目だけを迷わず入力できます。管理者が用意する紙の申告書や記入例の配布、回収した書類の保管といった作業も不要になります。
担当者の集計・差し戻し作業が大幅に減る
紙の年末調整では、記入漏れや計算ミスの確認、従業員への差し戻しに膨大な工数がかかります。SmartHRでは入力必須項目のチェックが自動化され、回答状況が一覧で可視化されるため、「誰がまだ提出していないか」がひと目で分かります。10人以下の少人数の会社でも、担当者1人で年末調整を回せる体制がつくれます。なお、そもそも従業員がSmartHRにログインできていないと回答依頼が止まってしまうため、事前にSmartHRで従業員を招待できない・招待メールが届かない時の対処法を確認し、アカウント配布のつまずきを先に潰しておくと安全です。
2026年(令和8年)版の注意点
年末調整の書式や控除の要件は、税制改正によって毎年見直されます。SmartHRの年末調整機能も年度ごとに更新され、2026年(令和8年)版は例年どおり秋頃の公開が予定されています。画面の文言や一部の設定項目が変わる可能性があるため、実際の設定時は必ず最新のヘルプセンターを確認してください。
SmartHR年末調整の初期設定の手順
ステップ1:年末調整機能で「はじめる」を押す
管理者は、SmartHRの年末調整機能の画面から「はじめる」ボタンを押して年末調整を開始します。ここから当年度の年末調整の設定がスタートします。開始前に、従業員情報や事業所情報がSmartHRの基本機能に正しく登録されているかを事前準備として確認しておくとスムーズです。
ステップ2:アンケートのヒントと依頼グループを設定する
初期設定では、次の順で設定を進めます。
- アンケート画面のヒントメッセージを設定:従業員から問い合わせが多い質問に、自社独自の補足説明(ヒント)を追加できます。
- マイナンバーの同期:申告書に必要なマイナンバー情報を同期します。
- 依頼グループの設定を確認:正社員・パート・役員など、対象者をグループに分けて依頼内容を調整します。
- 通知設定や住所の印字設定を確認:従業員への通知方法や、申告書への住所印字の要否を設定します。
ヒントメッセージを丁寧に設定しておくと、従業員からの質問が減り、担当者の対応工数を大きく削減できます。
ステップ3:前年データの取り込みと対象外者の設定
初期設定の仕上げとして、前年の保険料・住宅ローン控除・団体保険料・企業型確定拠出年金などのデータを取り込みます。これにより、従業員は毎年同じ情報を入力し直す手間が省けます。あわせて、年末調整の対象外となる従業員(乙欄該当者など)を対象外に変更しておきます。この設定を忘れると、対象外の従業員にも依頼が届いてしまうため注意が必要です。
初期設定を始める前に、SmartHRの基本機能側で従業員情報が最新になっているかを確認しておくと、後戻りが減ります。特に、年の途中で入社・退職した従業員、扶養家族に異動があった従業員は情報が古いままになりがちです。事業所情報(住所・法人番号など)も申告書に印字されるため、変更があった場合は年末調整を始める前に更新しておきましょう。
従業員へアンケートを依頼する手順
依頼グループごとに配信する
初期設定が完了したら、従業員に回答を依頼します。依頼を実行すると、対象の従業員へ自動で通知が送られ、従業員は自分のSmartHR画面から年末調整のアンケートに回答できるようになります。依頼グループを分けている場合は、グループごとに配信のタイミングを調整できます。
回答締切(受付終了日)を設定する
アンケートには回答締切(受付終了日)を設定します。締切を過ぎると従業員は回答できなくなりますが、追加で回答してもらいたい従業員がいる場合は、管理者側で受付を再開する操作が可能です。締切は給与計算のスケジュールから逆算し、確認・差し戻しの期間を1〜2週間ほど確保して設定するのがおすすめです。
従業員向けの案内メール文例(そのまま使える)
依頼と同時に、社内向けの案内を出すと回答率が上がります。以下はそのまま使えるテンプレートです。
件名:【要対応】年末調整のアンケート回答のお願い(締切:●月●日)
各位
お疲れさまです。●●年分の年末調整の受付を開始しました。
SmartHRにログインのうえ、案内に沿ってアンケートへご回答ください(スマホからも回答できます)。
・回答締切:●月●日(●)●時
・所要時間:約10〜15分
・必要なもの:保険料控除証明書、住宅ローンの年末残高証明書 など
不明点は総務・●●までお問い合わせください。よろしくお願いします。
回答内容の確認と給与計算への反映
提出内容を確認し差分リストを活用する
従業員がアンケートを提出したら、管理者は提出された内容を確認します。SmartHRの差分リストを使うと、前年から変更があった従業員(扶養家族の増減や住所変更など)を効率的に把握でき、確認すべきポイントを絞り込めます。内容に不備があれば、該当の従業員へ差し戻して再回答を依頼します。
年末調整の結果を給与計算に反映する
すべての確認が終わったら、年末調整の結果を基本機能や給与計算システムに反映します。SmartHRの給与計算機能を使っている場合は、年末調整の過不足額を12月または1月の給与・賞与に自動で反映できます。他社の給与ソフトを使っている場合は、確定した控除額を出力して連携します。反映後は、源泉徴収票を従業員へ配布し、税務署・市区町村へ提出する法定調書や給与支払報告書の作成に進みます。SmartHRではこれらの帳票もデータから出力できるため、年末調整から法定調書の提出までを一連の流れで完結できます。
よくあるつまずきと確認チェックリスト
はじめての年末調整でつまずきやすいポイントを、チェックリストとしてまとめました。
- 年末調整の対象外者(乙欄・中途退職者)を対象外に設定したか
- 依頼グループが雇用形態の実態と合っているか
- マイナンバーの同期が完了しているか
- 回答締切を給与計算スケジュールから逆算して設定したか
- 控除証明書の添付漏れがないか(差し戻し前に確認)
- 差分リストで扶養家族の増減をチェックしたか
SmartHR年末調整を導入する前に確認したいこと
料金プランと年末調整機能の対応範囲
SmartHRは無料プランから有料プランまで複数の料金体系があり、年末調整機能や給与計算機能が使えるプランは限られます。自社の従業員数と必要な機能を照らし合わせ、年末調整の時期だけでなく通年での費用対効果で判断しましょう。労務管理をSmartHRに一本化することで、入社手続きや雇用契約書の管理まで含めた工数削減が見込めます。
年末調整だけのために導入するのか、労務手続き全体をクラウド化するのかで、選ぶべきプランは変わります。年に一度の年末調整のためだけなら費用対効果は限定的ですが、入退社手続き・雇用契約・給与明細の配布まで含めて年間を通して使うなら、担当者の作業時間削減という形で十分に元が取れます。最新の料金は公式サイトで見積もりを取り、想定従業員数での月額・年額を必ず確認しましょう。
他の労務・バックオフィスツールとの比較
年末調整に対応するクラウド労務ソフトは、SmartHRのほかにfreee人事労務やマネーフォワード クラウド給与などがあります。すでに会計ソフトでfreeeやマネーフォワードを使っている場合は、同じシリーズで揃えると従業員データの連携がスムーズです。自社に合うツールを比較検討したい場合は、バックオフィスSaaS比較や人事評価システム比較もあわせてご覧ください。
導入は繁忙期の前に済ませる
年末調整の直前に導入すると、初期設定と従業員データの登録が間に合わないリスクがあります。少なくとも年末調整が始まる1〜2か月前までにアカウントを作成し、テスト運用で操作感を確認しておくと安心です。SaaS全体のコスト最適化を検討している情シス担当の方は、SaaS管理ツールおすすめ比較もあわせて確認しておくと、労務ツールを含めた契約の見直しに役立ちます。
年末調整をSmartHRで回すなら、給与計算と勤怠の周辺業務もあわせて整えておくと、従業員情報の二重入力を防げます。給与側をfreeeで揃える場合はfreee人事労務の初期設定ガイド、マネーフォワードで揃える場合はマネーフォワード クラウド給与の設定手順が参考になります。年末調整の前提になる勤怠データの整備はジョブカン勤怠管理の初期設定ガイドで確認できます。
まとめ|SmartHR年末調整は初期設定と依頼の2ステップが要
SmartHRの年末調整は、管理者の初期設定(はじめる→ヒント・依頼グループ設定→前年データ取り込み・対象外設定)と、従業員へのアンケート依頼という2つのステップが要になります。ここさえ押さえれば、あとは従業員がスマホから回答するだけで申告書が自動作成され、担当者は差分リストで確認して給与計算に反映するだけです。
はじめての担当でも、本記事の手順とチェックリストに沿って進めれば、紙の年末調整より大幅に工数を減らせます。実際の設定時は、税制改正に対応した最新版の公式ヘルプを必ず確認しながら進めましょう。

